副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
さすがにもう何年も実家から離れていたため、昔のままとはいかないまでも、きちんとベッドも服も整えてくれていたことに、いつかこうやって実家に帰ってくることもあると思っていてくれたのかと、莉乃は少しだけ心が温かくなった。

お風呂に入ると、やっと凍えた体がほぐれる気がして莉乃は大きく息を吐いた。
それと同時に涙があふれだす。

今更ながら自分だけが幸せだったのか?そんなネガティブな気持ちがあふれ出る。

(結婚もした今だからこそ、きちんと話をしないといけないのに……)

涙を拭って、気持ちを整えると莉乃はお風呂からあがり、リビングへと足を踏み入れた。


「誠さんから電話があったわよ」
さらりと言った母の言葉に莉乃はギクッとして動きを止めた。

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