副社長には内緒！〜 Secret Love 〜

「和食にしようかなと思ったけど、こないだ一緒に食べた和食美味しかったし、あんなにうまく作れないから、洋食ね」
莉乃は初めて誠に食事を振る舞う事に、少し緊張しながらも明るく言うと料理を続けた。


そんな莉乃を誠は不思議な気持ちでぼんやりと見ていた。
いつも、デートは高級レストランで食事をして、そのままホテルへ直行そんな付き合いばかりだった。


物心ついた後も、家政婦さんが作ってくれた食事を一人で食べる毎日。
ゆったりとした、雰囲気で女性がキッチンに立ち、自分のために料理をし、その姿を見る自分など想像したことが無かった。

そして、今までの彼女とも、そういうことをしたいと思ったことが無かったため、自分の家に入れることも、相手に深入りすることも避けていた。

そんな今までの付き合いを、あっさりと飛び越えて自分の内側に簡単に入ってくる莉乃に誠は戸惑いを覚えた。