副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
二人は乾杯すると、莉乃は誠が料理を口に運ぶのをチラリと見た。
「あっ、うまい!」
感心したように言った誠の言葉に、ホッとして莉乃も箸を手にした。

「よかった。誠って三ツ星レストランとか食べなれてるだろうし、正直ドキドキしたんだ。だから、このシチューとかうちの実家の味で……。高級レストランとは違う家庭の味だから大丈夫かなって……」
少し恥ずかしそうに言葉を発した莉乃に、誠はゆっくりと莉乃を見ると、

「本当に美味いよ。それに頻繁に高級レストランばかり行かないよ。むしろ俺はお前だって知っての通りまともに食事を取らない事の方が多いし、家庭の味なんて何年も食べてないから嬉しいよ」

誠の言葉が嬉しくて、ついにやけそうになる顔をなんとか保つと、
「あっ、キッシュも昨日焼いたんだった。少し温めるから待ってて」
莉乃は熱くなった頬を隠すように、パタパタとキッチンに行くと、冷蔵庫から出してオーブンに入れた。

温めている間、また席につくと、莉乃は真剣な表情を誠に向けた。
「ねえ、誠、仕事の話をして申し訳ないけど、これだけ覚えといて。たぶん、取引先と木下常務が何かを企てている気がする。まだ、証拠がはっきりしないけど用心しといて。必ず見つけるようにがんばるね」

自分の為に一生懸命になってくれる、莉乃が嬉しくて誠は心からお礼を伝えると莉乃に笑顔を向けた。

「莉乃ありがとう」

(本当にすごい女だよ)

誠は心の中でそう思うと、料理を口に入れた。
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