副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
そしてバスルームに慌てて入ると、大きく息を吐いて洗面台の鏡の中の自分の顔を見た。
(私もお風呂上がりを見られるってことじゃない……本当に馬鹿じゃないの。私……)
色々考えると余計に動揺してしまうような気がして、莉乃は熱いシャワーを頭からかぶると、冷静に、冷静にと自分に言い聞かせた。
なるべくゆっくりお風呂に入り、時間をかけて髪を乾かして覚悟を決めてリビングに戻ると、誠は、ニュースを見ながらビールを飲んでいた。
「誠、ビールまだある?」
莉乃は平静を装い、自分もビールを手にしながらキッチンから誠に声を掛けた。。
「あと、少し」
誠の返答に、莉乃は自分のグラスと新しいビールを冷蔵庫から出すと、少し離れてソファに座った。
(飲まないと落ち着かないよ……)
「なんか、変な感じだな」
そんな莉乃の気持ちを知ってか知らずか掛けられた誠の言葉に、莉乃も頷いた。
「ホント、あの日あのBARで会わなかったら、こんな風に今一緒にいることはなかったよね」
フフッと笑いながら、顔にかかった髪を莉乃は耳にかけると誠のグラスにビールを注いで誠をチラリと見た。
誠自身も莉乃と同様落ち着かず、一瞬あった莉乃の瞳に吸い込まれそうになり、無意識に莉乃の頬に触れたい衝動に襲われて、自分の手を慌ててギュッと握った。
(やばい。なんだ俺。絶対手を出すなよ!俺!莉乃は秘書だぞ!)
自分に言い聞かせるように言うと、誠は握っていた手に力を込めた。