副社長には内緒!〜 Secret Love 〜

「上司と部下で友人?」
誠は努めて声音を変えないように意識をし、上司と部下という関係を言葉にして自分に言い聞かせた。


「本来、友人と呼ばせてもらえる立場じゃないけどね」
そんな誠の変化など全く気付かない莉乃は苦笑して言うと、グラスを手にした。

「副社長にだって、友人はいるだろ?でも……男を泊めて怒る相手いないの?」
誠自身気になっていたことを、サラリと言葉にすると莉乃を見た。

「さすがにいたら泊めてないよ。そっちこそ、たくさんの女の人に怒られない?」
莉乃はクスリと笑うと、誠のたくさんの女の人を思い浮かべた。

「……大丈夫だよ」
誠は返答に困り、何が大丈夫か自分自身もわからないまま言葉にした。

(女の部屋に泊まることなんてよくあるよね……。そうだよね。ただ泊るんじゃなくてきっと……)
莉乃はそこまで考えて、誠と彼女たちの情事を思い浮かべそうになり、慌てて言葉を発した。
「そうだよね!誠には普通のことだもんね!」

「え?そんなことは……」
誠の言葉に被せるように、
「ごめんなさい!気にしないで!」

(しまった。なんか嫌な言い方しちゃった……。気にしてるみたいじゃない。私のバカ!)

つい出てしまった言葉に、気持ちを隠すように莉乃はビールをぐいっと飲んだ。
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