副社長には内緒!〜 Secret Love 〜

(あれ?朝?どうやってベッドに……)

ぼんやりとした頭で莉乃は起き上がると、飲みすぎた少し重い頭に手をやりため息をついた。

(やらかしてないといいけど……でも絶対自分でベッドに入ってないよね……)

そっとベッドを出て静まり返ったリビングを見て、誠がまだ寝ていることを確認すると、コップ一杯のミネラルウォーターをゆっくりと飲んだ。

そして手早く着替えと、化粧を終え朝食の準備を始めた。


(お酒の残った後は和食にしようかな)

莉乃はお粥の朝食が好きだ。

それに出汁を取り、豆腐とわかめとねぎの定番のお味噌汁。冷蔵庫に作り置きしている高野豆腐と大根の煮物。

(あとは、誠が起きてからにしよう)

時計は8時を回った所だった。

莉乃は、コーヒーメーカーをセットすると、コーヒーが落ちるのをぼんやりと眺めていた。

(変な関係になっちゃったな……)

コーヒーをカップに入れ、窓際から天気の良い空を見ながら莉乃は思った。

初めは顔がよくて、お金があって、女癖も悪い。
そんな誠を全く信じてなかった。

しかし、仕方なく一緒に入るうちに、誠の本当の優しさや、人間性を見るうちに、一緒に入ることが嫌ではなく……それどころか、楽しくなっている自分に気づいてしまった。

(男なんてこりごりなんだけどな……。ましてや、あんなハイスペック手に負える訳ない。それに女として見られてないよね……)

誠の周りには、いつも派手で綺麗な色気のある女の人ばかりなのを、莉乃はずっとそばで見てきた。

(私とは逆のタイプの女の人……。そういう人がいいんだろうな。今はこの関係が心地いいし、余計な事は考えちゃダメ)

コーヒーを一口飲むと、頭を空っぽにするように外の景色に意識を向けた。
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