副社長には内緒!〜 Secret Love 〜
誠も莉乃の横に座ると、少しバツの悪そうな顔で莉乃に目線を
「そういうお前は?」
「え?」
「お前は真面目に付き合うの?男と」

「真面目に付き合うに決まってるでしょ。でも……恋愛とかそういうのはナシでいいと思ってるから。一人で生きていくための資産運用だし」
表情を変えずに言った莉乃の答えに、誠は呆然として莉乃を見据えた。

「一人で生きていく……ってなんで?」

莉乃は、少しの沈黙の後、
「彼氏を……男の人を信用できないからかな?深く付き合うことが怖いというか。どこで変わってしまうかもしれないでしょ?」
誠は莉乃の言った言葉の意味を考えながら莉乃の顔を見た。
いつもの瞳には影が落ち、暗い闇のように見えた。

「何かあったのか?お前が会社であんな恰好をしている理由」

核心に触れることは解っていたが、誠自身どうしても聞かずにはいられずに言葉にしたが、莉乃の顔が強張った事に気づき、
「悪い、話さなくていいから!」そう言葉を発していた。

ギュッと自分の手を握りしめ、唇を噛み締めた莉乃に、もういいと言おうと思ったところで、莉乃が口を開いた。

「昔、少しね。嫌なことがあって。その元カレから逃げたくて。同じ大学だったから、私の職場を知っていたから見つからないように。家も携帯も全部変えたけど、職場は変えれないでしょ?」

「……今のところ大丈夫なのか?」

静かに、抑揚なく発せられた莉乃の言葉に、誠は事の重大性を図り切れず、言葉を選ぶように言った。

「うん。大丈夫。ごめんね湿っぽい話になって」
明るく言われた莉乃の言葉だったが、莉乃の手が少し震えていることに気づいて言葉を失った。

(思い出すのも嫌なことがあった……。そんなことがあれば、俺みたいな男に嫌悪感を持つに決まってるな)

誠は自分でそう思い、今までの自分を悔いるような気持になった。

「莉乃にとって、女をとっかえひっかえしているような、俺は最低な男だろうな」

「そうだね」
「だよな」

莉乃に否定されない事が、思った以上にショックを受け胸が痛んだ。
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