僕と家族と逃げ込み家
「顔はゲロゲロだし性格はゲゲゲだし、そんな人と結婚したら私の未来は地獄色です」

トヨ子ちゃんはバンとテーブルを叩き、ゴクゴクとハーブティーを一気飲みしてブハッと盛大に息を吐く。

「とにかくです! 昨日まで逃れてきたのです。なのに……」

クスンと鼻を鳴らしてトヨ子ちゃんが大きな溜息を付く。

「こともあろうに先生のことを調べ上げ、先生を潰して私から仕事を取り上げようと画策し始めたのです。あのクソ爺!」

「私を?」と母が自分を指差す

「大切な先生を潰されるぐらいなら、私、生贄になります!」
「トヨ子ちゃん!」
「先生!」

二人はヒシと抱き合い、おいおい泣き始める。
――何だこの三文芝居のような光景は?

しかし、トヨ子ちゃんが見合いをしなかったら……母の仕事が無くなるのか。

イケナイ! 小悪魔が耳元で囁く。
『これはチャンスだぞ! エロい読み聞かせがなくなるぞ!』と。

ニッとほくそ笑み、「家出してきます」と腰を上げる。
この機に乗じて一気に攻めよう! 方法を考えねば!
< 129 / 198 >

この作品をシェア

pagetop