僕と家族と逃げ込み家
 ◇◇◇ ◇◇◇

「もう、本当、夕立なんて最低!」

僕たちは雨と共にスイーツランドを後にした。
恵は頬を膨らませながら、タオルハンカチで鞄や手荷物を拭く。

「恵、それ買ったのか?」
「そう、可愛いでしょう」

後部席に座る幸助と恵は土産談義で大賑わいだ。
結局、僕は恵にモグタンのストラップと小さなマスコットを買わされた。

「俺は健太に、モグタンのシャープペンシルをやったんだ」
「で、幸助はマグカップね。可愛い!」
「母ちゃんにも、ほら、これクッキーだぞ」

モグタンの絵が描かれている缶を見せる。

「あっ、それ美味しいわよ。前に買ったことがある。食べた後、その缶使えるから得した気分になるわよ。私は半端なお菓子を入れてるの」

「再利用って言うんだろ? 母ちゃんもそういうの好きだぞ。で、恵は父ちゃんに何を買ったんだ?」

「私は、珍味セット」

「ほら」と見せる。綺麗に包装された箱には、モグタンとタコ、カニ、イカ、ウニ、ワカメがアニメチックに描かれている。
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