JUNP!!
「まぁ…いい。ここで待ってろ。
新田先生がお待ちだ」山川は
言い,入れ違いに社会科教師の
新田が現れた。

山川は嫌な笑みを残して、会議室
から出ていった。

「…澪…久しぶりだね?」新田
は澪の頭を撫でた。

「触んな。俺はアンタになんか…
会いたくなかった」新田の手を
払い退け,澪は椅子から立ち上が
ろうと腰を上げた。

「っ!!……」と同時に軽い痛み
が頬に走った。

「澪…どうして,君は僕を受け
入れてくれない?」新田は澪の
前髪を上げ,額に手を置いた。

右手に握る小さなナイフには,
微かに血が付いていた。

「僕は…君が好きなんだ」新田
は澪の頬から流れる血を指で
すくい,舐めた。

「……腐ってる…」澪は力無く
呟くと,会議室を飛び出した。


「澪!!」爽悟は澪の肩を叩き,
嬉しそうな笑顔を向けたが,すぐ
に失せた。

「……どないしたん…?」澪の
頬から流れる血を見れば,何も
無かったなんて言えない。

それに傷からして,おかしい。

「…澪…行く所,あるんやろ?」
優しい口調で爽悟は言った。
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