nocturne -君を想う夜-
「さて。飲むか」
自分を奮起しながらも、漂う寂しさはお酒に頼ってごまかすしかない。
食器棚から透明のグラスを取りだし、そのまま冷蔵庫に手を伸ばす。
モスコミュールは相変わらずよく冷えていた。
ローテーブルにそれを置き、背もたれにしているベッドへもたれ掛かる。
似合わないことしてるのかもな、なんて苦笑混じりに溜め息。
自分らしさなんてものを探すほど若くもないけれど、何が自分らしいのかなんて見失いかけている気もする。
バカだなぁ、いつまでも青臭くて。
まだ素面のはずなのに、頭のなかはとっても支離滅裂。
浮いたり、沈んだり、奮ってみたり、歪んでみたり。
それがまた自分でわかっているのだから、もうひとつ溜め息。
今日だけで一体、どれだけの幸せを空気に逃がしてしまったのか。
湯船に浸かっただけではとれる気配の無い凝り固まった肩を解すように揉む。
まるでがんじがらめの感情を体が表しているみたいだ。
『肩ガチガチじゃんか。頑張るのは良いところだけど、頑張りすぎは良くないところだよ』
彼はそのあと、私の肩を揉みながら何て言ったんだっけ?
そのあとの言葉をすっかり忘れてしまった。
「ほんと、がっちがちだー……」
まぶたを下ろして、深く息を吐く。