nocturne -君を想う夜-
共に長い時間働いている同僚達からしたら、メイクの仮面をはずして寝巻き姿の今の私はきっと“らしくない”姿なのだろう。
幼顔で、だらけてて。
それは想像するのに難くない。
コンビニのあの彼女にもきっとある“彼女らしさ”。
傍目から見るといつも笑顔で愛想が良い、それがきっと私から見た“彼女らしさ”。
でもたぶん、それ以外にも“彼女らしさ”というのはあって。
親しく付き合っていくほどに、細かくなっていくんだろう。
彼女の旦那や、子供たちしか知らないような“彼女らしさ”が、あるのだろう。
じゃあ“私らしい”って、なんだ?
私が思う“私らしさ”は、人から見たら変わるのだろうか。
ぶれないようにいつも強がって見せている、それは“私らしい”のかな。
本当はこんなにもぐらぐらで、弱くてちっぽけなのに?
こういう問答は、いくら巡らせてもいつだって結局答えは出ないまま終わる。
「まぁ、飲めないお酒飲んでるってのは、似合わないかな」
ぐん、と体を起こして、缶のプルトップを引くとプシッと良い音を立てる。
透明のグラスに注ぐと、細やかな気泡がフワフワと立ち上る。
窓から外を覗くと、月はぐんと位置を高くして神々しいまでの光を放っていた。
こんなに綺麗な、月夜の晩にはいろんな想いが渦巻いて。
やたらに気持ちが落ち着かない。