どうも、うちの殺人鬼(カノジョ)がお世話になってます。
握力が弱いのか、落としそうで見てて冷や冷やする。
「あぁ、確かに俺の真似をしろとは言ったが、鏡合わせに真似するんじゃない。俺から見て右だから、市木は俺から見て左に持てばいいんだ」
市木は向かい側にいる俺を見ながら真似をしていた。
これでは鏡のように逆だ。
俺は右利きだから、それ同様に右にナイフを持ってほしいのに、市木は左に持っている。
「???」
市木は目を泳がせながら困った顔をする。
むー……説明がややこしいか。
俺は席を立ち、市木の方へまわる。
「え、あ、あの、時流様、覚えられなくてごめんなさ……え?」
怒られると勘違いした市木が少し慌てたが、俺はお構い無しに事を進める。
市木の背後にまわり、市木の手を持ってナイフとフォークをしっかり握らせた。
まるで初心者に書道を教える先生だが、これで俺と市木の手の動きが同じになる。
身体で覚えた方が早いしな。
「右がこっち、左がこっちだ。それでこう持って、こう刺して、口に運ぶ」