カズキ、10年愛〜不良のあなたに恋をして〜前編
私は、ふらふらとちどりあしで玄関へ向かう。



「ちょっと、かじぇにあだっできまふ。」


ふわふわしながら、玄関前の石のステップにどっかりと腰をかけた。

いつのまにか、とっぷりと日は暮れている。

見上げた空には、真ん丸お月様が輝いていて、

何故か、お月様が3つに見えている。


夜風はしっとりと頬を撫でる。



酔い覚ましには、ちょうどいい心地良さ。


一人になって、こんなに愉快な気分になったのって、久しぶり。

なんて素敵な誕生日プレゼントなんだろ…。


壁に寄り掛かり、そんな事を考えていたら、いつしか私はうとうとと、眠り込んでいた。






「ちゃん…!?舞ちゃん?こんな所で寝てたら風引くよ?」




優しい声がする…。


だれだろう・・?


カズキが来てくれたのかな?




その瞬間私の身体はふわふわと空に浮かんだ。


なんだか、夢を見て空を浮いてるようで気持ちがいいよ。





「おやすみ舞ちゃん。」




そう聞こえた時に、おでこに何かが触れた気がした。







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