【完】桜が咲く前に~キミとみっつの約束~
「菫ちゃんはたくさん泣いたのね」
「はい」
たくさん、そんな言葉以上に泣いた。
涙が枯れる、そんなことはないくらい泣いても泣いても涙が出た。
「私も最初はたくさん泣いた。いーっぱいいーっぱい泣いてたらね、桃太がね遺していってくれた物に気が付いたの」
とーくんが遺していってくれた物…?
「それは、たくさんの言葉と笑顔。あと、この部屋よ」
そう言ってとーくんのお母さんが開けてくれたドアの中を覗く。
この部屋、来たことない。