【完】桜が咲く前に~キミとみっつの約束~
「私、この部屋に入ったことなかったのよ。菫ちゃんもないでしょ?」
とーくんのお母さんの言葉に小さく頷く。
こんな部屋、あったんだ。
この部屋には…、
とーくんととーくんのお母さん、お父さん。
それから私がたくさんいた。
「俺がもしもこの世から去ったとき、この部屋に入ってほしい。菫に紹介して欲しいって言われてたのを思い出して入ったの」
そんなこと、言ってたの?
元々、こうなることがとーくんには分かっていたの?
「そしたら、あ、ここに桃太はいるじゃない、そう思えた」
私はその部屋に足を踏み入れた。