【連載長編】アルエス
森の中心に、木々に覆われるように建つ石造りの建物があった。


苔に侵食された石は建設されてから、永い年月が過ぎ去っている事実を如実に物語っていた。




捕虜収容所…それが建物の正式名称。


私の記憶にある収容所は、建てられて間もない頃の真新しいモノだった。


予測される時間差…400年弱。


驚きはしたものの、命令には絶対服従が基本だった。


人工的に造られたホムンクルスの殲滅兵器は、与えられた命令を何があろうと実行せねばならない優先事項が設けられているからだ。


本来の目的を果たすために、私はここにいる。


単独活動が基本とはいえ、400年もズレた時間差を埋めるには、一人行動では自ずと限界があったから。


私は建物の高い位置にこしらえられた、小窓から洩れる明かり目指して、行動を開始した。




殲滅兵器…アリアの鬼姫αシリーズ…プロトタイプ…A000…コードネーム『エリス』


行動開始。
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