イケメン小説家は世を忍ぶ
隣にいるケントも渋々と言った様子でシートベルトを装着すると、“大丈夫だ”とでも言うように、私の頭を胸に抱き寄せた。

私はケントに抵抗することもないまま、無言で窓の外を眺める。

飛行機が離陸し、東京の夜景がキラキラしてやけに綺麗に見えた。

……生きて戻って来れるのだろうか?

そんな不安に襲われながら、じっと夜景を眺めるが、その宝石のような光も次第に小さくなりすっかり見えなくなった。

まるで私が助かる希望の光も消えてしまったみたい。

ケントが非常用の食料を私に差し出すが、食欲なんてなかった。

「いいです」

小さく頭を振る私の手に、ケントは袋に入ったパンを押し付ける。

「食欲がなくても食べておけ。食べなきゃ持たないぞ」
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