イケメン小説家は世を忍ぶ
他の兵士もそれに続いたが、最後の兵士がこちらにやって来てケントにパラシュートとリュックサックのような袋を預ける。

私達に水と食料を持ってきたジェイクだ。

「もう、これひとつしかありません。ご無事で」

そう言い残して兵士は、ドアからサッと飛び降りた。

私はケントの腕の中のパラシュートと袋に目をやる。

……ひとり分しかない。

でも……使う人間は決まってる。

あの兵士もケントに助かって欲しくてケントにパラシュートを渡したんだと思う。

ケントは生きなきゃいけない人。きっと多くの人が彼に期待している。

「ケントも……行って下さい」

笑顔を作ってケントの背中を押す。

私があれを使ってもきっと助からない。

ああ……私はやっぱり死ぬんだな。

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