イケメン小説家は世を忍ぶ
「無理して笑うな、馬鹿」

私の頭をポンと叩くとケントは、自分のシートベルトを外し、入り口のドアを力を振り絞って閉める。

「ケント、何をしてるんですか?早く逃げて!」

私は叫ぶように言うが、ケントは私の声を無視して操縦席の方に向かう。

飛行機が墜落するというのに、何をやっているの!

私もシートベルトを外し、ケントの後を追って操縦室に入る。

「ケント……殿下、逃げて下さい!」

操縦席に座って操縦桿を握るケントの肩に手を置き、懇願する。

「女の子残して逃げられるわけないだろ」

ケントは前方を見据えながらも当然のように言うが、私は彼の言葉に納得しなかった。

ここにいたらふたりとも死んでしまう。

「かっこつけてる場合じゃないですよ。ケントだけでも逃げ……‼」
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