イケメン小説家は世を忍ぶ
ケントが式に呼んでくれたうちの両親や伯父の話では、桜井建がセピオンの新国王というのはもう日本では周知の事実らしく、私とケントの馴れ初めも日本で大きく報じられているとか。

城の中にいると、そんな報道も他人事のように思っていたのだが、さすがに結婚式となると違う。

ブルーローズの花びらが舞い散る中、ウェデイングドレスを着てケントと並んで馬車に座っていると、沿道にいるたくさんのセピオン国民がブルードラゴンの絵が描かれた国旗を振る。

その数の多さに私は圧倒された。

「……何万人いるんでしょうね?」

笑顔で馬車の上から手を振りながら、私は隣にいるケントに尋ねた。

今日の彼は濃紺の軍服を着ていつもの三倍はカッコイイ。
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