イケメン小説家は世を忍ぶ

どうやら先生には絵の才能もあるらしい。

ひょっとしてリビングのお城の絵も桜井先生が描いたものじゃないだろうか？

「実物よりよく描けてるだろ？」

不意に桜井先生の顔が私の頬にくっつくくらい近づいてきて、私は「ギャ！」と奇声を上げながら大きく横に仰け反った。

「さ、桜井先生、心臓に悪いので急に顔を近づけるの止めてもらえませんか？」

先生って人との距離感近くない？

「近づいて来たのはお前だろう？変な奴」

フッと桜井先生は鼻で笑うと、私の肩に顎を乗せてきた。

「……先生、私をからかって遊んでますよね」

恨みがましく言うと、桜井先生は私から離れ椅子の背に持たれる。

「それの何が悪い？俺もたまには息抜きをしないとな」

「……十分息抜きしてるじゃないですか」

桜井先生から顔を背けボソッと呟くと、いきなり彼に顎を掴まれた。