イケメン小説家は世を忍ぶ

「まあまあ、何をそんなに楽しそうにお話しされてるんです？近所の梅光堂で桜餅を買ってきたんですよ。少し休憩しましょう」

テラスのテーブルにお手伝いさんが桜餅とお茶を置く。

「梅光堂の桜餅なら俺ももらおう。佐代さん、ありがとう」

桜井先生がお手伝いの佐代さんに向かって笑顔で礼を言う。

彼は私に対してはかなり意地悪なのに、佐代さんには優しく接している。

お手伝いさんなんだけど、桜井先生は親戚のおばさんのように尊重していて素敵な関係だと思った。

佐代さんもおっとりしてていつもにこやかで、一緒にいると心が和む。

「お嬢ちゃん、良かったな。桜見てお団子食べたいって思ってたろ？」

うっ……何でわかっちゃうの？

私を冷やかす先生を無視して椅子に腰かけると、佐代さんに笑顔で話しかける。

「佐代さん、ありがとうございます。頂きます！」