イケメン小説家は世を忍ぶ
嬉しそうに桜餅を手に取り口に運ぶ。

桜の風味とこしあんの甘さが絶妙。

「美味しい~」

幸せに浸っていると、隣の大先生が横目で私を見ながらニヤニヤする。

「やっぱり花より団子だな」

……反論出来ないのが悔しい。

下唇を噛みながら横目で桜井先生を睨む。

その時、真っ白な子猫が現れて、彼の膝にちょこんと座った。

「モモ、お前また顔に傷つくったな?」

子猫の顎を撫でながら、桜井先生が頬を緩ませる。

何、このデレ顔?

「桜井先生にすごくなついているみたいですけど、野良猫ですか?」

「気まぐれで餌をやったら毎日来るようになった」

「そりゃあ、名前つけて、餌まであげれば……‼」

寄り付きますよと言いかけたところで、桜井先生にギロッと睨まれた。
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