イケメン小説家は世を忍ぶ
もたつく結衣にイラッとしたが、疲れてそのまま寝落ちする彼女を見て何とも言えない気持ちになる。

『遅い!』とか『間違い多すぎだろ!』とか散々罵ったが、結衣の疲れた寝顔を見ていると少し良心が痛んだ。

仕事に妥協は許さないが、誰もが自分のように仕事が出来るわけではない。

初めてのことだし、彼女なりに頑張ったんだろう。

厳しくしすぎたとは自分でも思う。

俺にあれだけ罵倒されたのに弱音を吐かないところは気に入った。

別室から毛布を持ってくると結衣にかけて、彼女の頭をソッと撫でる。

「よく頑張ったな」

そう優しく呟いてリビングを後にする。

本人が起きている時に言ってやれば喜ぶと思う。だが、今は言うつもりはない。

俺に何を言われても負けじと立ち向かう結衣の目をもっと見てみたいと思う。
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