俺に彼女ができないのはお前のせいだ!


面会の手続きをして、親父の病室へと向かった。



「お、早かったね。お父さん起きてるよ」



廊下を進むと、紙袋を両手にした母が病室から出てきた。


親父の意識が戻ったおかげか、だいぶ顔の血色はよくなっていた。



「……帰るの?」と聞くと、母はうなずいた。


着替えや荷物を取り換えるために、いったん家に戻るとのこと。



「お父さん、今日は調子いいみたい。せっかくだしゆっくりしていきな」


「ヤダよ。どうせ説教されるし。テスト結果出たから」


「たまには男同士2人で話でもしたら?」



なぜか母は穏やかな表情でそう言い、エレベーター方面へ向かっていった。


親父と会うのは1週間ぶり。


親父と2人きりになるのは……いつぶりだろう。



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