俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
やたらキレイで広い病室内を見渡しながら、俺は親父に伝えた。
「部活、レギュラーになれた。でも、テストは学年6位だった」と。
お小遣い半年なし。
そんなことはもうどうでもよかった。
5位、いけると思っていた。達成できなくて悔しかった。
さすがに弱ってるから説教は食らわないだろう。
そう思い、視界を親父に戻す。
「…………っ!」
びくりと体が震えた。
親父が今までに見たことのない、嬉しそうな表情を俺に向けていたから。
「今までで一番、いい成績じゃないか? よくやったな」
「は……?」
意外すぎる親父の言葉のせいで、俺は何も考えることができなくなった。
「お前はよく頑張っている。余計なこと、考えずに、やるべきことをやれば、もっと伸びる」
「…………」
「お前は何かを手に入れたら、すぐ飽きて、興味を失うからな。昔、甘やかして、しまったせいかもしれないが。何かを、追いかけてる時のパワーは、すごいんだがなぁ」
言われていることはいい内容ではないし、自分でも思い当たる節はある。
ただ、その言葉には愛情のようなものが込められているように思えた。