俺に彼女ができないのはお前のせいだ!


やたらキレイで広い病室内を見渡しながら、俺は親父に伝えた。



「部活、レギュラーになれた。でも、テストは学年6位だった」と。



お小遣い半年なし。


そんなことはもうどうでもよかった。



5位、いけると思っていた。達成できなくて悔しかった。



さすがに弱ってるから説教は食らわないだろう。


そう思い、視界を親父に戻す。



「…………っ!」



びくりと体が震えた。


親父が今までに見たことのない、嬉しそうな表情を俺に向けていたから。



「今までで一番、いい成績じゃないか? よくやったな」


「は……?」



意外すぎる親父の言葉のせいで、俺は何も考えることができなくなった。



「お前はよく頑張っている。余計なこと、考えずに、やるべきことをやれば、もっと伸びる」


「…………」


「お前は何かを手に入れたら、すぐ飽きて、興味を失うからな。昔、甘やかして、しまったせいかもしれないが。何かを、追いかけてる時のパワーは、すごいんだがなぁ」



言われていることはいい内容ではないし、自分でも思い当たる節はある。


ただ、その言葉には愛情のようなものが込められているように思えた。



< 103 / 269 >

この作品をシェア

pagetop