俺に彼女ができないのはお前のせいだ!






それからは慌ただしく日々が過ぎた。



葬儀屋さんとやらが、てきぱき段取りを決めていった。


通夜は家でやることになり、文字が書かれた細い板とたくさんの花で和室が埋め尽くされた。



スーツ姿の大人たち――親父の会社の偉い人や、部下らしき人がたくさん来て、母と祖母はその対応に追われて。


悲しそうな顔をした先生やクラスメイトたちも来てくれて。


正月やお盆にしか会わない親戚も慌ただしく動いていて。



めまぐるしく進む時間の中、


俺だけが、取り残されたような気持ちだった。



尾家さんにもまた会えた。無言のまま、俺の頭を撫でてくれた。


だけど、素直にありがとうと言うことができなかった。



「この度は心よりお悔やみ申し上げます。修一さん(父)には大変お世話になりました。私たちにできることがあればお手伝いさせてください」



向かいの家に住んでいる高川家――アリサとその両親も来てくれて、いろいろと手伝いをしてくれた。


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