俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
☆
注文はブレンドのMサイズっと。
てきぱきとカップをマシンにセットし、飲み物が注がれる間にレジを打つ。
「ありがとうございました」
バイトを始めておよそ2週間。
仕事の覚えの良さには定評があったが。
「あれだな。あんた手際はいいんだけど愛想はよくならないねぇ。ま、頑張れよっ」
カウンター越しに常連のおばあさんに声をかけられた。
「はい。頑張ります……」
ちなみにバイトの先輩たちからは、このおばあさんに認められればようやく1人前だと言われている。
くそ。まだダメか……。
「あはは。柳井くんって本当カワイイ。感情が顔に出やすいタイプ?」
ピークの時間が過ぎ、お客さんが途切れた今。
俺の隣でケラケラ笑っているのは、あのエナさんだった。
ちなみにエナさんの接客力はハンパない。
老若男女問わずお客さんを笑顔にするスキルを持っている。