俺に彼女ができないのはお前のせいだ!


「仕事は楽しいっすよ。でもあんま上手く笑えないっていうか」


「こういうのは演技するのが大切だよ。はい、妄想して! 柳井くんはアイドル~ファンに囲まれてる~今笑ったらファンがキャーキャー言う~失神する子も出てくる~」



「あははっ、何言ってるんすか。それまじウケます」


「お。いい笑顔できるじゃん。イケてるじゃん。イケメン!」



「え。はぁ、は?」



ちゃんみゆの早とちりのせいで、この職場でイケメン扱いされたことがなかったからか。


冗談だったんだろうけど、エナさんの言葉に照れてしまった。



「あれあれー? 赤くなった? やばいカワイイー」


「あ……いらっしゃいませ!」



ちょうどお客さんが来てくれて助かった。



「こんにちは。注文こちらで承ります」



よし。エナさんを見習って俺もやってみるか。



自分のどこかにあった接客モードのスイッチを連打し、

お客さんと向き合う。



「セットの方がサラダもついてお得になりますが、どうされますか? はい。ありがとうございます!」



さっきの雑談で笑ったおかげか、明るく接客できている気がした。



「ありがとう」とお客さんからの笑顔ももらうことができた。



やべぇ嬉しい。楽しいぞー!


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