俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
「良一くん、今すごいドキドキしてるでしょ」
「えっと……その……」
「どうしてそんなに悩んでるの? 行こうよぉ」
「…………」
きっと、ここで断ったら男じゃないっ!
そうだろうけど。
そうなんだけど……。
もちろん祖母の勤務先であるこのホテルには入りたくない。
でも、それ以上に何かがしっくりこない。踏み出すことができない。
どーてー卒業のゴールテープが俺を待っているのに!
一体、なぜだ? なぜなんだ!
心に生じている違和感の正体を必死になって考える。
すると――
『良ちゃん。私、買い物して家で待ってるね』
急にアリサの甘ったるい声が、脳内に鳴り響いた。
今日あいつご飯作ってくれてるらしいし、約束は守らなきゃいけない。
だけどさぁぁ、
なぜ俺の男チャンスにいつもお前が現れてくるんだ!?
そして、もう1つ思い出した。
『良一くんって、死んだ弟に似てるんだ』
以前にエナさんがつぶやいたこの言葉だ。
これは本当なのか。ただの口説き文句なのか。
確かめたいが、今はその時ではない。