俺に彼女ができないのはお前のせいだ!



面倒なことに巻き込まれるのはまっぴらだ!



頭ではそう思っているものの、


あれぇ、足が、勝手に動いているよ~状態へ。



俺はアリサの家の近くにふらりと移動していた。


近づくと、洋食風のいい香りが漂ってきた。



「いいじゃん。今日アリサちゃん一人なんでしょ?」


「今から用事があるの!」



夜になり静まりかえった住宅街。


玄関で話をしているらしく2人分の声がはっきりと聞こえてきた。



「それ嘘でしょ? ご飯作ってあるじゃん。しかももう夜遅いよね」


「……えっと」


「俺、アリサちゃんのこと好きだから。だから、俺のこと信じてよ」


「ごめんなさい。まだそういう気分になれない」


「俺だってキスだけじゃもう我慢できないよ」



――はぁ。


あいつバカじゃねーの。



まだ『そういう気分になれない』んだったら、そう簡単に彼氏を家にあげるなよ。



まあ男としては彼氏の方に同情するところもある。


だって半年近く付き合って、まだキスしかしてないってことでしょ。


しかもあいつの彼氏って、大学生+イケメンでモテそうなルックス=いっぱい遊んでそうな男じゃん(偏見)。



ってか、俺はなぜ盗み聞きしているんだ!?


それより俺の晩ご飯は!?


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