俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
アリサはポケットから鏡を取り出し目元を確認した後、
素早い手つきでスマホをすっすっといじり出した。
そして、ギロリと鋭い視線を俺に送ってきた。
「本当、良ちゃんって自分のことには鈍感だよね! それ絶対嘘!」
「嘘じゃねーよ」
「あたしと向き合うのが怖いだけのくせに!」
「あのさぁ、意味わかんねー……」
「でもいいっ! やっぱりあたし別れてくる! もう好きじゃないから!」
「え。今から? マジで襲われたらどうすんの?」
「身の危険を感じたら連絡する! その時は助けにきて! じゃあね!」
そう言い残し、彼女はリビングを出ていった。
すぐにガラガラバタン! とドアが勢いよく閉まる音がした。
「ちょ……待てよ!」
俺も外に出たが、すでにアリサの姿はなかった。
くそ。自転車で行ったのか?
彼氏の家はどのへんだっけ? 駅の裏側とか言ってたような。
(ってか……あの彼氏、家そんな遠くないのに毎回わざわざ車で来るとこも、なんか腹立つ。)
しばらく自転車を走らせたものの、アリサを見つけることができなかったため、仕方なく家に帰った。