俺に彼女ができないのはお前のせいだ!






寝ているんだか、起きているんだか、分からなかった。



『……一、良一!』



ただ、久しぶりに聞いた声のせいで、びくりと体が震えた。



『良一! 聞いてるのか!』



『……はっ!』



『最近、お前たるみすぎじゃないか? なぜ志望校に落ちたんだ? なぜ部活にも入っていないんだ? 遊びすぎじゃないのか? バイトよりもまずは勉強だろうが! しかも何だその髪型は! そんなのが今の流行りか? さっさと刈らんか!』



『お、親父……?』



『本当にお前は俺がマネジメントしないとダメになるんだな。いや、お前が1人立ちできるよう、もっと裕子や母さんとコンセンサスを取っておくべきだったか……』


『ちょ、意識高すぎて何言ってるかわかんねーよ!』



久しぶりに会った親父は、生前と同じ。


厳しい表情や言葉を俺に向けてきた。



最近の俺の行動一覧に次々と『喝!』シールが貼られていく。



ああ、お前が死んで俺はどうせ落ちぶれたよ。


自分で自分がどうしたいか、どうなりたいかがよくわかんねーんだよ。


多感な思春期のどまん中でコロッと死にやがって。このクソ親父!



そう頭の中で毒づきつつも、俺は反射的にシャキッと姿勢を正していた。



しかし、予想に反して……



『ただ、お前をもっと褒めてやればよかったと反省はしている』



親父はそうつぶやき、弱々しくため息を吐いた。


< 180 / 269 >

この作品をシェア

pagetop