俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
『は? 一応……最後、よくやったって言ってくれたじゃん』
『最後になる可能性があったから、本音を言わなければと思ったんだよ。すまんな』
『…………』
今さら謝られても困るんだけど。
だって、お前、もう死んでんじゃん。
ぶっちゃけ今の俺は親父に顔向けできるような存在ではない。
ただ――
親父と生きているうちにもっといろんなことを話しておけばよかった。
俺もそう後悔している。
尾家さんがいつか言っていたように、たまには親父も素の顔を出すらしいし。
そうだ、話題を変えよう! 怒りをそらす効果もあるはず!
『あの……親父はさぁ、若い頃、どんなヤツだったの?』
俺は恐る恐る聞き、チラッと顔を上げた。
親父は『ん?』と喉を鳴らし、得意げな表情になった。
『俺か? まあ、自分で言うのもあれだが……かなりのモテ男だったぞ』
『は、はぁ……』
『平日はバリバリ働いて、週末はクラブで騒いで、いろんな女にキャーキャー言われたものだ』
『うわ、パリピじゃん。すげー』
『今の話、裕子と母さんには内緒だぞ。高校時代は生徒会長やってた優等生だったからな。まあその時からモテてたが』
初めて知った事実に驚くとともに、自慢されまくりでイラッとした。