俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
「……ごめん、今の忘れて。キモかったでしょ」
「違う」
「それともキツイこと言いすぎた? まじごめん」
「違うよ!」
大声を出した勢いで、また一筋、涙がこぼれた。
昨日も、今日も、泣かせてばかりだ。
最悪だ。本当俺ってださい。そんなつもりないのに。
「も~~っ!」
「いてっ」
アリサは右手で俺の肩をばしりと叩いた。
もういっそ、思いのたけ殴ってくれよ! と思ったが。
「バカ! 嬉しいから泣いてるのっ! う……っ」
涙声でそう叫び、アリサは唇をかみしめた。
涙はとまらないようで、白い頬に透明な線が重なり合っていく。
頬も鼻の頭も赤く染まっていく。
その言葉の意味を理解することができない。
いや、今は何も考えることができなかった。
アリサと向き合おうとすると生まれてくる胸の苦しみ――ずっと逃げてきたものが、急にこみあげてきたから。
俺は彼女の細い腕を引っ張っていた。
体がくっつくと同時に、彼女の背中に手を回した。
大粒の雨の中、彼女に抱きしめられた時の温もり、重なった唇、つないだ手の感触がよみがえる。