俺に彼女ができないのはお前のせいだ!


アリサは不思議そうに目を見開き、俺をじっと見つめた。



胃のあたりがむかむかするような。


喉の奥がひりひりするような。


心の中をぐちゃぐちゃにされるような。



その視線に捕らえられると、いつもは逃げ出したくなる。



でも、今は言ってやりたかった。



「確かに、お前は見た目はすげーいいよ。でもそれだけじゃねーよ。計算高くてすぐ年上ぶるけど、本当は弱いしすぐ悩むじゃん。でも突飛な行動とったり、よく分かんない理論で立ち直ったりするとこもあるし。
あと、お前に腹立つ時もある分、感謝もしてるよ。親父が死んだとき追いかけてきて、つぶれそうだった俺と向き合ってくれたじゃん。俺がクソみたいな状態になっても、ずっと気にかけてくれたしさぁ。
だから、他のヤツがどう思ってようが関係ねーよ。俺だけはお前自身のことずっと見てきたし、ちゃんと知ってる…………………………って、うーわ!! 何言ってるんだ俺!? まじキモイ! やべぇ、意味わかんねぇー!!!」



勢いのままに言いたいことを吐き出した結果、


混乱して自分の頭をかかえこんでいる俺。



ああキモい。


俺はアリサの何なんだ? 


ただの幼なじみ……いや、本当にただの、幼なじみ、なのか?



片手を髪の毛にあてたまま、アリサをちらりと見た。



「……っ!?」



いったりきたりな思考が急停止する。


アリサの頬に、綺麗な涙が伝っていたから。



ゆらいだ瞳からこぼれていく雫は、光をまとっているように見えた。

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