俺に彼女ができないのはお前のせいだ!



ガラ……と横引きの扉を、ほんの少しだけ開ける。



やはりその先にいたのは、

アリサと、のぞむという男だった。



のぞき・盗聴なんて趣味はないが、俺は自然とその隙間に神経を集中させていた。



「アリサ、愛してるよ」


「やだぁ。照れるって、もう!」



あーかゆい。かゆい。キモイ。


何が愛してるだ。愛の意味、お前知ってるの? 俺もよく知らねーけど。


てか、そういうこと言い合うの、家の中だけにしてくんない? 俺マヨネーズ買いに行きたいんすけど。



イライラして髪の毛をぼりぼりした時、2人の会話が途切れた。



「ちっ……」



だから、なんで、外でそういうことすんの?



薄暗い空気の中で、2人は思いっきりキスをしていた。


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