俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
アリサは、のぞむの首の後ろに手を回す。
のぞむは、アリサのつやつやの髪の毛を乱す。
いーち、にー、さーん、しー、って何秒くっつけてんだよ。早く終われよ! なげーんだよ。息できないだろ。
てか何で俺も一緒に息を止めてんだ? 1人で。
やっと離れたかと思えば、アリサは上目遣いで彼を見つめた後、視線をふとそらした。
――やべっ!
一瞬、俺の家の方を見た気がした。
アリサと目が合った、気がした。
急いで口を押えて玄関へ引っ込む。
心臓がドキドキいっている。なぜかは知らない。
たぶんあいつがいつもより数倍かわいいからだ。きっとそれだけ。
「…………」
なんだよ。アリサのやつ。幸せ全開の表情しやがって。
付き合う前はさんざん迷っていたくせに。