俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
「おつかれー」「んじゃー」
部活が終わり、自転車をこぎ友達と別れた。
汗をかきまくったせいで、髪の毛が蒸れている。
どうせこの時間なら誰にも見つからないだろうし。ちょっとくらいいっか。
「はぁー」
自転車に乗るときはヘルメット装着=校則だけど、
俺はヘルメットをとり、カゴに突っ込んだ。
ペダルをこぐたびに、風が髪の毛と頭皮をかすめていき、気持ちがいい。
てか、何でヘルメットとか被んなきゃいけないの? ロードバイクじゃなくて、たかがママチャリなのに。
この前、都会に住んでるイトコに、ちょwおまwwヘルメットってダサwwと爆笑されたんですけど。
こういう古臭い決まり事で生徒たちをしばりつけるから、高校デビューするヤツが増えるんだろうな。
俺だって高校になったら部活やめてバイトしておしゃれして髪の毛をのばしたり染めたりして。
良一くんキャーカッコイイなんて言われたりして。もしくは俺の隠れファンみたいな女子ができたりして。いや、もうすでにいたりして。
……いや、親父が生きてるうちは、イケてる男子になるのは無理か。
なんてことをぐちぐち考えていたが。
「おい。お前2年のくせにノーヘルしてんじゃねーよ!」
先生よりもめんどくさいヤツらに見つかったらしい。
コンビニの広い駐車場前で、俺は3年男子たちに行く手をふさがれていた。