俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
ど、ど、どっちなんだい?
じゃなくて、どう答えればいいんだ!?
「…………」
のぞむはアリサの6人目の彼氏だ。
それ以前に5人の男と付き合ってきたが、
そろそろ処女卒業したいだの何だの言っていたから、えっちなことまではしていないのだろう。
ただ――
『いいの? あたし、本当にのぞむくんと』
この前、アリサが発した言葉を思い出す。
よくこういう言葉を使って、アリサは俺を揺さぶってくる。
彼女が若干かまってちゃん体質なのは知っている。
アリサが誰と付き合おうがどんなことをしていようが、俺には関係ない。
ただ、俺だけが知っているアリサのことを他人に教える義理もない。
とりあえず、
「や、俺、そういうのよくわかんないっす」
と言って、この場を逃れようとした。んが。
「だってさぁ、この前遊びに行った時、めちゃくちゃ優しくしてやったのに、やらしてくんなかったんだよ」
のぞむはそう言って、ため息をついた。
「それで俺、賭けに勝ったしー」「くそ、のぞむなら1回でいけると思ってたのに」
などと、後ろの3年男子たちからふざけた声があがった。
アリサの恋愛事情は、俺とは関係ない。
はず、なのに。
目の前にいる、のぞむと男子たちに対して、嫌悪感がわいてきた。
いいや、冷静になれ、俺!