俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
ガラ、と玄関の扉を開けると、キャッキャした3つの声が突き刺さってきた。
「アリサちゃん胸大きくなったんじゃない?」
「もーやだぁ。裕子さんったらー。まだまだBですよぉ」
「いいや、それくらいがちょうどいいべ。だてに大きくなりすぎたら年取ったら垂れるからねぇ。あっはっは」
キッチンで繰り広げられていたのは、うちのババァチームとアリサのガールズトーク。
時々、アリサの両親は泊まりがけで仕事をすることがある。
そんな日は、アリサは俺の家に夜ご飯を食べにくる。
「……ただいま」
そうつぶやき、どすどすと足音を大きく鳴らす。
「あらやだ良一が帰ってきちゃった」と母の声が聞こえ、会話が途切れた。
油とにんにく醤油のいい匂いが漂っている。今日はから揚げか。
リビングに入ると、食卓で祖母がビールをあおっている奥、
キッチンでは母とアリサが料理をしていた。
「良ちゃんおかえりー。ご飯もうすぐできるよー」
サラダ入りのボウルを抱えたアリサが話しかけてくる。
こういう光景、アリサファンのユージに見せたらくぅ~~~ともだえるんだろうな、と思いつつ。
「方程式で分かんないとこあるから、教えて」
母と祖母のニヤニヤ目を見ないようにしながら、俺はアリサを部屋に呼んだ。