俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
「なんで今さらそんなこと言うの? もうあたしのぞむくんと付き合ってるのに」
「あいつお前の体目当てらしいから」
「そ、そんなことないよ。だってすっごく優しくしてくれるもん」
「やりたいから優しくしてるだけに決まってんじゃん」
「ひどい。人の彼氏のことそんな風に言わないでよ」
うるうるした上目遣いの瞳が、俺をちくちくと攻めてくる。
自分でもなぜかは分からない。
アリサが恋愛でどうなろうと俺には関係ない。
だけど、何かが、気にくわない。腑に落ちない。
「何も知らないのはそっちじゃん。俺、男同士の噂でちょっとあいつのこと聞いたから」
「何を?」
「その、お前とやりたがってる、っての」
表面では嘘を織り交ぜつつ、のぞむが考えていることの本質を伝えた。