俺に彼女ができないのはお前のせいだ!
「は? どういうこと?」
「わたし、良一さんがどのへんに住んでるのか気になって、それでちょっと遠回りして帰っただけなんです! 決して後ろをつけてきたわけじゃないんです!」
早口の大きな声が通りに響く。
脳みそ内の情報処理が追いついていない俺は、なぜか震え気味の彼女の手を見ていた。
あ……血出てるじゃん。痛そう。
「ここ、擦りむいてるよ」
手を指さしながら伝えると、彼女はようやく顔を上げた。
奥二重気味の少し眠たげな目が、ぱっつん前髪との絶妙なハーモニーを奏でている。
正統派ではないのだけど……結構かわいいかも。
「あ、本当だ。痛っ……」
「家に絆創膏あるから」
「え? いいんですか? 家、入ってもいいんですか!?」
みるみるうちにその子の頬は赤く染まっていく。テンションも上がっていく。
俺は、キラキラした視線を向けられていた。
「……っ」
実のところは、
『家に絆創膏あるから持ってくる。ここで待ってて』
と、言おうとしたのだが……。
「嬉しいです! 家にまで入れるなんて夢みたいです!」
「は、はぁ」
「実は……わたし、良一さんのファンなんです」
――ちょ、待て。
『良一、後ろ! 後ろー!』
恋占いの石、めちゃくちゃ効果ありましたがな!