甘い罠には気をつけて❤︎ 俺様詐欺師と危険な恋 

   「エリザさん、近いうちに何冊か本を持って伺いますわ」



 馬車をおり、狩猟館の前に立ったフィーネに、馬車の窓から顔をだした
 イリーナが言う。

 どうして、そんな話になっているのだっけ......。

 そうだ、ユアンが ” 妹は本が好きだが狩猟館には、若い女性が読むような
 本がない ” と言い、イリーナが ” 本を貸す ” と言っていたからだ。



   「ぜひ、お願いします」



 フィーネが何も答えないので、フィーネの隣に立ったオルセン伯爵......
 ユアンが代わりに答える。

 その言葉にイリーナは微笑み、御者に合図をすると馬車はゆっくりと
 走り出した。

 去っていく馬車をながめていたオルセン伯爵......ユアンがくるりと
 こちらを向き、にっと笑う。



   「よくやってくれたね、フィーネ」



 やっとフィーネと呼んでもらえたのに、フィーネは少しも嬉しくなかった。

 館に向かって歩き出したユアンの背中を見ながら、フィーネは手に持った
 紙包みをぎゅっと握りしめる。



   「肝心のリースがなきゃ、オーナメントは飾れないじゃない」



 でも、フィーネの声は小さすぎて、背を向けているユアンには
 届かなかった。
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