夢みるHappy marriage
第1章

婚活に人生かけてますから



銀座線の青山一丁目駅から、降りて数分のところにある雑居ビル。
そこの一室にあるセレブ結婚相談所、「Happy Marry」に登録して早1年が経つ。

私の小さい頃からの夢は玉の輿で、それは今でも変わらない。
そこで、玉の輿を目指して年収1000万円以上の相手とお見合いを重ねてきた。

……が、今のところ全戦全敗。
全く上手くいく気配がなくて、もう数えるのも怖くなってきた。

自分で言うのもなんだが、この婚活市場じゃなければ結構モテる。
相手が喜ぶ会話術と可愛く見せる仕草から始まり、日頃から料理教室に通ったりエステに通ったり、と自分磨きに余念がない。

だけどここは違う。

顔、スタイル、年齢、職業、
年収、資格、最終学歴、資産、

全員の家族の年齢と学歴、職業まで記載されているのだ。

性格なんて二の次。
全てがスペック重視。
出会う前から、その人自身の価値を値踏みされ、会うに値しない人物と判断されたらそこまでなのだ。

何も持っていない私は外面で勝負しようと、月々の美容代にお金をかけても、それだけではダメだった。
由緒正しい家柄に誇れる学歴、セレブ相手でも胸を張って言える職業。

婚活業界ではまだ若い方とされる27という年齢と、まずまずの外見で会うところまでこぎつけても、それらが揃っていないと結局先には繋がらない。

そして派遣社員の安月給で、そんな負け戦をいつまでも続けられるはずもなく……。
初期費用と毎回のお見合い費用、それと高価な化粧品代に美容室代、服やらアクセやらの装飾品代で貯金はもう底をつきそうだった。

見事、19連敗を喫したところで遅ればせながら現実が見え始め、やっと方向修正することに。
それでも心の底ではまだ、諦めきれていなかった。

誰もが羨むセレブとの結婚を。



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