夢みるHappy marriage
そんなことを考えていると、さっき注文したメニューを乗せたワゴンを押したボーイさんがやってきた。そしてテーブルの上に繊細にソースがかけられたフォアグラのテリーヌが置かれる。さすが高級ホテルの料理と言わんばかりのクオリティに、思わず顔をほころばせずにはいられない。
その隣にナイフとフォークをセッティングしてもらうと、一番楽しみにしていたシャンパンの細長いグラスがその横へ置かれる。ワインクーラーからボトルを取り出すと、底を白い布でさっと拭いてグラスへシャンパンが注がれていった。
グラスを傾けて、ささやかに乾杯をする。気泡だった金色の飲み物を一口口に入れて、こくんと飲み込んだ。
「おいしい」
思わずつい口に出すと、榊原さんが笑ってボーイさんに「これボトルでください」と一言伝えた。
値段見ずに言えちゃうのがまた凄い、このグラス一杯でだってびっくりする値段だったのに。
シャンパンに舌鼓を打ちながら、テリーヌをたいらげると、丁度良い頃合いにロブスターのビスクとサラダ、バスケットに入ったパンが次々と運ばれてきた。
そしてメイン料理の肉厚なフィレ肉のステーキに辿り着き、赤ワインが入ったグラスを口に傾けている頃には、私はすっかり出来上がってしまっていた。
「デザートは?」
「食べたいっ」
「何が良い?」
そう言ってメニューを渡される。良い具合に酔っ払ってるから、さっきみたいに値段もあまり気にならない。
「えーっとね、あー、どうしようっ」
「何で悩んでんの?」
「えっと、ガトーショコラとチーズケーキとそれとアイスと、えっと」
「それ全部頼んだら、どうせそんなに量来ないから。一緒に食べよう」
「いいのっ?」
嬉しさのあまりに思わず声を弾ませると、社長さんが声をあげて笑った。
そして、テーブルの上にデザートが運ばれてくるとガトーショコラから口に運んでいく。程良い甘さの生クリームをケーキに添えて口の中へ。目をぎゅっとつぶって、「んーっ」と喜びを噛みしめるような声を上げた。
「おいしいっ」
感無量、と言わんばかりに眉を寄せて言うと、榊原さんも嬉しそうに笑ってる。
「それは良かった」
ガトーショコラから次はチーズケーキに手を伸ばす、皿の周りに円を描く様に彩られたアプリコットソースをたっぷり付けて頬張った。また、んーっと至福の瞬間を噛みしめる。