夢みるHappy marriage


翌朝、けたたましいアラーム音に起こされた。

思わず、耳元を塞ぎたくなる程の超爆音。
携帯ってこんなに大きな音出せるのってびっくりする位。

それが社長様の頭元で鳴り響いているのだけれど、彼はびくともしない。

……う、嘘でしょ?
なんでこの爆音に、びくともしないの。

死んでんじゃないの?

思わず布団をちらっとめくって生存確認すると、整ったお顔が出てきてすやすやと静かに寝息をたてていた。

とりあえずその爆音アラームを消して、彼の体をゆする。


「ねぇ、アラーム鳴ってたよ?起きる時間なんじゃないの?」

「……」

「ねぇってば!」

すごい、全然起きない。いくら体をゆすってもまるで反応がない。
……なんなの、この人。

そうこうしていると、昨日の男性のコンシェルジュに連れられて綺麗な女性が部屋にやってきた。
部屋へその人を招き入れると、丁寧に挨拶をされる。

「はじめまして、私、榊原の部下の西篠といいます」

「あ、えっと、はじめまして」

慌ててこの状況を釈明しようとするが、私に一言挨拶した彼女は、まるで私達の関係には興味ないとでもいうような様子で、榊原さんが寝ているベッドへ直行した。


「社長、社長、起きてください。あなたがいないとミーティング始められないんです」

そう言ってさっきの私のように体をゆするが、やっぱりまるで反応がない。どうするんだろうと思ったら、いきなり彼の体に、長く細い足で思い切り蹴りを入れてベッドから転げ落ちさせた。
突然の出来事に開いた口が塞がらない。

「さっさと起きてよ、慧人!もういい加減にして、毎回無駄な手間かけさせないでっ!」

布団にくるまったまま落ちた社長様。むくっとそこから這い出るとまさかの上半身裸というあられもない姿。
またもやびっくりして、見ちゃいけないとすかさず目を反らす私。
しかし、西條さんは慣れているのか驚きもせず、社長のワイシャツに、ネクタイ、ジャケット、ズボンを彼へ投げつけていく。


「ほら、早く着替えてっ」

「……ん」

やっと、小さな声を発して返事をした超低血圧な生き物。

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