夢みるHappy marriage


朝食を終えて、改めて身なりを整えに洗面所へ。
私もエプロンを脱いで会社用の服に着替え、軽く巻いていた髪をワックスとへスプレーでセットする。

腕時計とシンプルなネックレスとブレスレットを身に着け完了。


「今日も乗ってくだろ?」

「どうもありがとうございます」

「いや、どうせ通り道だし」

一緒に住むようになってから職場も近かったから車で送ってもらうようになっていた。


「ヒルズでも、なんで六本木にしなかったの?あっちの方が職場近くない?」

「あそこイメージ悪いだろ、あんまり職場近くても嫌だったし」


マンションの地下の駐車場から、六本木方面へ向かう。
オフィス街なだけあって、街には朝からスーツを着た人が行き交っていた。

そんな中、とある地下鉄の駅から出てきた見知った女性の姿が目に入る。
形の良いおでこを出したセンター分けのロングヘアーで、いつも毛先だけ内側に入れている。

そして猫のような少し釣り目がちなきりっとした目、西篠さんも目の引く美人だけど、奥森さんもこの雑踏で思わず目で追ってしまうような綺麗な人だったからすぐに分かった。
それに、彼女はパンツスタイルが多いのだが、まるで雑誌から抜き出てきたかのような洗練されたセンスの良さがる。年齢も近いだけあり、色々意識せざるを得ない存在だった。


「榊原さん、あの人、奥森さんじゃない?」

「よく見つけたな」

「ね、やっぱり今度から送ってくれなくていいよ。一緒に通勤してるのバレたら怪しまれる」

「別にやましい関係じゃないんだから良いだろ」

「バカじゃないの、事実なんて関係ないの。やましく見えるだけでダメなの」

「バカ?」

「一緒に住んでるなんてバレた日には、私もう榊原さん達と仕事できなくなる。あともう少しでオープンできるのに」

< 75 / 107 >

この作品をシェア

pagetop