生徒会長は今日も恋煩う
じわりと滲む手汗をズボンで乱雑に拭き取れば、ドアが唐突にガチャリと開いた。
「え、会長?」
「き、木南さん……っ」
いきなり本人が登場した。
いや、これはラッキーだ。ご家族の誰かだったらこの緊張感がもっと続いていたのだから。
目の前の木南さんは俺を見て珍しく驚いた表情を浮かべていた。
「えっと……あの、こんばんは」
「はい、こんばんは」
「あ、あのですね……少し、話があって……」
「話、ですか?」
「今、お時間ありますか」
「い、いいですけど……」
木南さんは動揺した様子で慌てて扉を閉めると家から少し距離を置いて「何ですか?」と尋ねてきた。